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音楽記録簿「れぽると」

「綾戸智絵 Live 2004」 米子公演 

 ♪日時:平成16年(2004年)10月11日 月曜日(祝日)
            (16:15開場・17:00開演予定・17:09開演)
 ♪場所:米子コンベンションセンター BIG SHIP 多目的ホール
      (鳥取県米子市末広町74  キャパシティ1~2階合計2,004席) 


              

 綾戸智絵(あやど・ちえ)。
 彼女の名前だけは、前々から雑誌等で知っていました。 
 若い頃、単身渡米して、ゴスペルクワイヤの一員となり、のちに現地で米国人と結婚・一児をもうけて、のち離婚。
 帰国後女手ひとつで愛息を育てる彼女の身に病魔(癌)が襲いかかるも、それを乗り越え、やがてシンガーとしての才能を見いだされてデビューした、遅咲きのジャズヴォーカリスト。
 彼女の波乱万丈な半生は、こんなかたちで紹介されていました。そして、彼女のバイタリティ溢れるライヴを見て、観客は元気をもらうのだと…。
 その後、テレビ番組(NHK「青春のポップス」等)で、数度、彼女を見る機会がありましたが、SMAP中居正広さん司会の番組(「金曜日のスマたちへ」だったような気がします)で、2曲歌った彼女を見て、興味を持ちました。
 「世界にひとつだけの花」(中居さんと共演)については、私自身はそれほど感じるものはなかったのですがm(__)m、続けて、ソロで「テネシー・ワルツ」を彼女が歌っていた…それは、故・江利チエミさんの「テネシー・ワルツ」にまさるとも劣らない(私は子供の頃、江利チエミさんの歌が好きでした)、再び聴いてみたくなるような「テネシー・ワルツ」でした。  
 
 その後しばらくたって、職場近くのあるカフェ(境港出身のマスターさんが、御自身お気に入りのCDを店内BGMとして流しておられるのですが、その選曲の感覚が好きで、時折CDの名前と歌手名を教えてもらっています)でも、彼女のCDは流れていました。
洋盤に続けて彼女のCDをかけても、まったく違和感なく…。
 
 その、綾戸智絵さんの米子での公演。「ナマ綾戸」拝聴・拝見に出かけました。座席は1階8列39番。コンベンションセンターは初めてですが、硬い木の椅子で、座席と背の角度が直角だから、首と腰が途中から痛くて痛くて…ごめんなさい会館の方(^_^;)。

 綾戸さん、と云うよりは「智絵ちゃん」。白い緞帳が上がった向こうには、人懐こい笑顔で、グランドピアノを弾きながら、楽しそうに歌い始めている、智絵ちゃんが、そこに居ました。
 自らを「ミュージシャンやのぅて、『歌好きの、ちょっぴりさみしがりやな、オバハン』」と称する、智絵ちゃん。うわさにたがわぬバイタリティーで、客席をグイグイ引っ張っていきます。ピアノ・歌・しゃべくり。きょうここで歌えるのがうれしくてしょうがない、というように、顔をクシャクシャにしながら、全力投球。

 アタマ2曲はいきなり①「Amazing Grace」②「テネシー・ワルツ」。彼女の代表的なナンバー2曲です。「最初っから目玉2曲持ってきて、このあと大丈夫なん?」という、私の余計な心配(笑)をよそに、

 「いやぁ~ぎょうさん来てくれはりましたな~ うれしいです。米子、とうとう来れました~!! うわぁ1階席、2階席、びっしりやぁ~。ありがとぅございますぅ~。3階席もありがとぉ…あ、これは照明か。道理でおんなじような、宇宙人みたいな顔ばっかりやなぁと思ぅたわ。
そこの人、遅れて来はったんかぁ? ほな、今の2曲聴いてへんのぉ?いま、『アメイジング』と『テネシー』やったのにぃ。演奏中やから中に入れへんかったんやねぇ。外で聞いてはったんやろ。ほな、『テネシー』サービスしょうか(*^-^*)?」
そう云うやいなや、急いでピアノのところに戻り、「テネシー・ワルツ」のサビから再び歌い始める智絵ちゃん。会場はすっかり彼女のペース。独りでステージを持たせてしまうのが凄い!!

 鳥取県といえば、幼い頃(小学生時代、8歳ぐらい)鳥取砂丘に来て、
ラクダに「あんたの人生これでええのん?」と語りかけたこと、
「次来るときには、出世して、お菓子お土産に持ってきたるからなぁ」と
その時ラクダに誓ったこと、
そして、きょう、鳥取砂丘に行ってきたこと(笑)を、関西人ならではの口調で、ユーモアたっぷりにMC。
 「歌をうとぅてなかったら、こんな米子くんだりまで来る機会はありません。皆さんが呼んでくれたんです。ありがとぅございます~」。
その後のMCでは、更にローカルな地名・店名(元町サンロード、スーパーいしかわ、朝日町のかば…米子界隈の住人でなければわからない御当地ネタ)まで散りばめていました(笑)。
「綾戸智絵と上戸彩を間違えた」というギャグも…(笑)。
     
 (※以下、筆記具を忘れて家を出たので、曲目をメモしていません。セットリストが不正確でごめんなさいm(__)m)        
 「20年と20年と6年生きてきた…これ、ええやろ? このネタ使ぅてええでぇ(*^_^*)…そんな中で、この7年間 (注:歌手デビューしてからの年数)は最も濃いぃ時間でした」という智絵ちゃんの、『チャレンジ』が、作詞・作曲。
 「当時郵政大臣だった、鳥取県選出の議員先生の、平林鴻三さんと……これまた鳥取県出身の次官さんに、綾戸は、『みんなが歌える、郵政のイメージソング』作詞・作曲を、頼まれましてん。そんとき、こっちが例の地震で(平成12年・境港市を震源とした、山陰沖地震)、大臣さんは急いで地元に帰りはったんやけど、次官さんはそのまま居はって、趣旨説明しはりました。ほんま鳥取には縁があるんです」
そして歌い始めたオリジナル曲③「Everybody Everywhere」。軽快なスウィング曲です。智絵ちゃんのピアノが小気味よくリズムを刻み、サビの「I say. You say」という歌詞では、「You say(=郵政(^_^;))」の部分を客席に歌わせていました。客席も(私ももちろん)気持ちよく、智絵ちゃんの後で「♪You say」と続けて歌います。
 この曲のあと、もう1曲ソロで弾き語り(④Wonderful Nightとかいう曲名だったような…。曲が終わった後、智絵ちゃん御自身が、曲の紹介をなさっていたので=省略した曲もいくつかありましたが、筆記具持ってこなかったのを後悔)。
 そして、バックミュージシャンさんが(合計3人)、徐々に呼ばれてステージ上へ。まずは、ハーモニカ奏者の方が。この方、智絵ちゃんいわく
 「告白します…このひと、実は、ハーフなんです。母親は千葉、そして父親は…米子ぉ!!
 きょう親戚来てんのやろ?客席に手~振っときぃ!!」客席も一段と沸きます。
このハーモニカ奏者さんとの共演で、⑤「ワシントンスクエアの夜は更けて」。昔サントリーのCMで使われた曲。ハーモニカ奏者さんのバッキングで、ピアノを弾く智絵ちゃんの楽しそうなこと。彼女のピアノはリズムに乱れがなく、余裕があります(前述のテレビ番組で凄いなと思ったのも、この点)。いったんハーモニカ奏者さんはハケます。

 続いて、ギター奏者さんの登場(クラシックギター畑の方のような奏法でした)。智絵ちゃんはピアノから離れて、ギターの近くに腰掛けて⑥「Fly Me To The Moon」。
宇多田ヒカルさんや、島袋寛子さん(元SPEEDのHiroさん)もこの曲をカヴァーしていますが、既存のメロディーの音譜をなぞる(トレースする)ことから踏み出して、独自の色を出していくことにおいては、智絵ちゃんに一日の長があるように思いました。
 もうひとり、(先に登場したギター奏者さんの)弟子だという、20歳のギター奏者さん登場。2人のギターをバックに、⑦「黒いオルフェ」(この曲大好きです…ヤマハ系の音楽教室で電子オルガン習った人間なら誰でも知っている曲=笑)、ストーンズの⑧「悲しみのアンジー」を。

「アンジー」については、
「子どものとき、ローリング・ストーンズがごっつぅ好きで、カッコ良くて、真似してたんです。お母ちゃんが『タラコない』云うてたら、私が唇に着けてるという(笑)。
ストーンズが、四畳半フォークみたいなバラードを、1曲だけ歌ぅてはるんですが、これからその曲をやります」とコメント。再びハーモニカ奏者さんも登場。ここからは、ギター2+ハーモニカ1+綾戸智絵、という布陣で。

 「こうやって、ツアーに廻らせてもらうお陰で、地理の勉強になりますぅ~。米子・境港の名物云うて、何やの?」と智絵ちゃんが云うやいなや、『ゲゲゲの鬼太郎』のサビの演奏を始める4人…それに続いてそのまま、⑨「恋の片道切符」へと繋げてしまうジャズメンのセンス(これが圧巻!!)。この展開が聴けただけでも、きょう来た甲斐があったと(笑)。
 さらに⑩「On and on」(…と云っていたようなm(__)m) そして、智絵ちゃんが愛息に捧げたオリジナルナンバー⑪「Get into My Life」。この曲は「私より早く死なないで」と、母から息子に充てたメッセージなのだそうです。
 智絵ちゃん・お母様・御愛息3人のなかでは、生き死にの問題も「佃煮の話題と同じように」、普通に日常の会話ののなかで取り上げるのだそう。そして、「あるひとにとっては10年かもしれないし、またあるひとにとっては90年かもしれない。長さはどうあれ、与えられた命を精一杯生きるのだ」というのが、共通の人生観なのだそうです。
 本編最後の曲は⑫「わが心のジョージア」だったように思います(この辺の曲目・曲順がややうろ覚え。もう1曲本編あったかもしれません)
     
 アンコールは2曲。ハンドマイクで舞台の左右を動いて、客席の皆を見ながら⑬「サンシャイン」。スティービーのオリジナルのメロディーを大部分崩して、「綾戸流」でした。再度ピアノに向かい、⑭「風に吹かれて」。5月発売のアルバム『TIME』収録曲ということで…「ドモホルンリンクルでも『お試し』があるのに、CDにはお試しがあらへんやん?ということで、1曲…」
 
 曲のエンディングと同時に緞帳が再び下りてゆき、終演を知らせる場内アナウンスには、関西イントネーションの明るいアナウンスが…

「もうちょっと聴いていたいあなたにはCDを、もうちょっと見ていたいあなたにはDVDを、ロビーで用意しております! お揃いのTシャツを着たいあなた、ロビーに取り揃えております!ビューティー綾戸、米子に来れて幸せです!」
終演後まで関西人のノリ満載(笑)。爆笑モノのアナウンスに、客席も拍手しながら会場をあとにしました。


 「間を持たせない」智絵ちゃんのしゃべくりすべてを、ここに記すには、わたしの記憶力が追いつきませんでした(^_^;
 歌・ピアノ・MC(というか「しゃべくり」)、すべてにおいて、サービス精神旺盛で、隙間がありませんでした。
 
終盤改めて、この仕事(歌手)のお陰で米子へ来られた、という云い方をしながら、
 「『子どものころ、めんどくさがりやった自分が、いま、なんでこうやって、夜も寝ずと楽譜書い たり、一生懸命練習したり出来とんのやろ?』と考えることがあるんです。
 『歌が好きだから』なわけがない。
 『歌とご飯どっちが好きか?三度のメシより音楽が好き?』
 そんなことあら(=ありは)しません。音楽よりはご飯のほうが好きですぅ~。
 でも、皆さんが居てくれはる、綾戸のうたを待ってくれはることで、私も頑張ろう(と)いう気にな れるんです。
 馬はニンジンないと前には進めません。
 音楽は…歌は、ニンジンやのぅて、鞍なんです。ニンジンは、お客さん…皆さんなんです。
 この7年間、皆さんが、音楽を育ててくれはったんです」
実感のこもった言葉でした。

 終演は19時08分。正味2時間でした。綾戸智絵が全力で演じきった、エネルギッシュで、濃密な2時間でした。
 「あと何回(あとどれだけ)夜を共にすごすことができるだろう」…ラストに歌ったナンバーの歌詞を引き合いに出して、智絵ちゃんは「一期一会」というような意味合いのことを、ラスト前に口にしていました。智絵ちゃんから力をもらう、智絵ちゃんを見て元気をもらう…こんな前評判の理由が、なんとなく分かった気がします。

 私はジャズについてはまったく不案内で、ジャズシンガーのよしあしについて論じられる立場にはいません。
 智絵ちゃんに関しては、ジャズ屋としては賛否両論目にしたことはあります。
ですが、ジャズの重要な要素のひとつが、即興性であるとすれば、綾戸智絵のフェイクは心地よいし、その引き出しは幅広く、奥行があるように思えました。
 また、「不快にならない細かいビブラート」を出せる、数少ない歌い手さんのひとりだとも感じました…というか、私個人が改めて、ハスキーな声&洋楽系の細かいビブラート&多彩なフェイクを兼ね備えたヴォーカリストが好きなんだろうな、と思ってしまいました(^_^;)。

 智絵ちゃんは愛息イサくんを、今回鳥取に連れてきたそうです(3連休を利用して、中国地方公演に同行)。御自身が子ども時代に見た、鳥取砂丘の風景を、イサくんにも見せたかったのだと。母親の顔が覗きました。 
 智絵ちゃん、おおきに! また来てや~(^^♪
 


 ♪セットリスト(らしきもの(^_^;))♪

1)Amazing Grace
2)テネシー・ワルツ
3)Everybody Everywhere
4)Wonderful Night
5)ワシントンスクエアの夜は更けて
6)Fly Me To The Moon
7)黒いオルフェ
8)悲しみのアンジー
9)ゲゲゲの鬼太郎(=イントロとして使用)~恋の片道切符
10)On and On
11)Get into My Life
12)わが心のジョージア

=encore=
13)サンシャイン
14)風に吹かれて


      
by oda_hide7 | 2004-10-11 22:28
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